「ふ〜ん。いいな」 「でしょ?」 「でも、残念だな」 「ん? 行きたい?」 「いいや」 「じゃあ、どうして?」 「境にも彼氏でもいれば、もっと満喫出来るのにな」 「…………」 リエは何も言わず立ち上がった。 「それ飲んだ? 捨ててくるね」と、僕の顔も見ずにコーヒーの空き缶を取ると、自動販売機の横にあるゴミ箱まで歩いていった。 そして、自分の分と僕の分、二つの空き缶をひとつひとつゆっくりと捨てると、すごい早歩きで僕の前まで帰ってきてこう言った。