ブランコ。

先輩が用意してくれたシートに座り、花火を見上げる。


赤、青、黄色。


さまざまな色が弾ける音響とともに暗闇に広がっていく。


花火が打ち上げられるたびに、光の尾が長く長く垂れ下がるたびに、人々の間から歓声があがっている。


先輩と目が合う。


先輩の顔を盗み見ようとした僕と目が合うということは、先輩も僕と一緒で花火はあまり見てなかったのかもしれない。


「花火、キレイですね」


「そうだね!」


そう言った先輩の顔は、心なしか悲しそうに見えた。