どんどん小さくなっていく声に、逃げるように去って行く拓也君の視線。
自分の事を子供だと言う拓也君からはもう、普段の余裕のある表情なんてこれっぽっちも見られなくて…
「…拓也君はさ、」
今きっと、彼は私に呆れられたと思ってる。声をかけた瞬間動いた肩が、怒られるのを身構える、それこそ子供のようだ。
「そんなに、私が良いの?」
ーー私の問いに、拓也君はピタリと動きを止めて、ゆっくり顔を上げた。
…私なんて大したものじゃないのに。どこまでもどこまでも拓也君は、私への想いを口にして、態度に表してくれる。
「本当に、そんな子供みたいな事するぐらいに…私が好きなの?」
もっと沢山素敵な人は居ただろうに。それなのにこんな何の取り柄も無い、若い子みたいによく泣く30前の女なんか…本当に、本当にそれで良いのだろうか。
「本当にずっと前から、ずっとずっと私の事好きでいてくれてたって、信じていいの…?」
信じていいの?なんて。君に尋ねる言い方は、本当は卑怯かもしれないけど。
だけど…その瞬間勢いよく抱きついてきた拓也君が私じゃなきゃダメなんだって一生懸命肯定するから、もう疑う理由なんて無いんだなって、そう思ったりして。
「…それなら私も、君との未来を信じられるような気がする」



