小悪魔的な彼と悲観的な彼女



ギュッとなる。胸が、苦しくなる。

その感情は…その想いは…あぁでも、私は知ってるよ。



「…拓也君…」


でも…拓也君には…


「彼女が、居るんでしょう?」


大学時代から続く、大切な彼女が。



「…居ないよ」



それでも返ってきたその言葉に私は…もう何に苦しいのか分からなかった。


…拓也君の言葉に嘘は無いと思う。こんなに真剣に真っ直ぐに私の事を話してくれる拓也君。自分の過去を反省と共に曝け出してくれた拓也君。そして、私への想いの全てを明らかにしてくれた拓也君…信じない理由なんてもう無かった。言葉全てを信じられた。

だからその想いが伝わって嬉しかったり切なかったりで胸がギュッと苦しくなって…だけどその存在を思い出したら、それ以上にすごく押しつぶされそうになった。居ないって否定されても軽くなることはなくて、どんどんキツく、重くなっていくばかり。


…私は、その言葉を信じられるだろうか。

……いや、


「信じ、られ無いよね」

「…え?」