小悪魔的な彼と悲観的な彼女



「そう。僕には彼女じゃない女の子が何人も居たんだ。彼女の名前をあげて僕に責任が生まれるのを避ける内に、曖昧な関係の子がだんだん増えていった。でもそれで良いと思ってたんだ、お互いそう約束したよね?その一言で終わる関係が。泣かれても何されてもなんとも思わなかった。だって僕には責任が無かったから」

「責任…」

「……そう、最低なんだ。最低だって、恥ずかしいって、すみれさんと話すようになって初めて分かったよ。すみれさんが泣くのを見て、ボロボロになるのを見て、僕は心が痛んだんだ、可哀想だなって。でも…きっと、他の子達もそうだった。みんな同じように泣いてた」

「……」

「そんな事をしてきた僕がすみれさんを支えられる訳もないし、頼られる事だって絶対にあり得ない。すみれさんの心を揺さぶれるくらいにはならないとって、それからはそれが僕の目標になって、ずっとそれに向かって進んできた。そのためにその子達とも全部終わりにしてきたし、頼りにして貰えるような所に就職もした。全部、今日までの僕の全部はすみれさんが居たからあったものなんだ」

「……」

「ずっとすみれさんの事を想ってきた。すみれさんしか居なかった。すみれさんが今の僕を作ってくれた。だからもう僕には、すみれさんの事を考え無い日常なんて考えられなくて…すみれさんが居なくなってもきっと僕は、もう僕は、すみれさんの事が忘れられないんだ。ずっと、ずっと…」


そう切なげに目を細めて拓也君が口にする、切実な想い。