そして慌ただしくも清々しく終わりを迎えた飲み会に、手を振って去って行く琴乃を見送って…私と拓也君も帰路に着いた。


「…琴乃さんって良い人だね」

「…え?」


駅へ向かう途中、急にそんな事を拓也君が言い出すから思わず尋ね返してしまった。だって今日の二人のやり取りを見てたら…良い印象じゃないかもって、思ってたのに…

…だけど、隣を歩く拓也君の表情は柔らかで、別に嘘をついているようには見えない。本当に良い人だと思ってるみたい。


「良かったよ、琴乃さんみたいな人がすみれさんの友達で」

「…そ、そうなんだけど…でも嫌じゃなかった?」

「?、嫌?」

「うん…ほら、琴乃は結構言うタイプだから…全部私の事を思って言ってくれてるんだけどね、だけどその…」


…うん。大事な友達の事を悪くなんて言いたくないし、私はそんな琴乃の事が好きだから…だから、どう言えば誤解されないで伝わるかなって、どう言えば琴乃のフォローをしながら拓也君の肩を持つ事が出来るのかなって、次の言葉に悩んでしまった、そんな私に、だ。


「僕は真っ直ぐ物を言ってくれる人は好きだよ」