玄関に座り込み、携帯を耳にあてる。 『…大丈夫? あいつ、出ていったの?』 …出ていった? 『なぁ、そんな奴やめて、俺とまた… 俺とまた、付き合ってほしい。 もう悲しい思いなんかさせない。 むかしより、今の奴より幸せに…』 彼の言葉なんか、耳に入ってこない。 今は、恋人が出ていってしまったことに対して 酷く心が締め付けられている。 思考が回らない。 声が出ない。 涙ばかり出てくる。