嘘を重ねて。



ーーーーーー数日後


体もやっと回復し
私は数週間後晴れて退院する事になった


「ユエ、大丈夫?起き上がれる?」


「心配しすぎだよー」



あれからタクは酷く心配性になった
…実はそれがちょっと面白かったり。


荷造りを済ませると
私は1つタクに聞きたい事があった事を
思い出した


「ねぇタク」


「ん?」



「私が事故にあった日…救急車を呼んでくれたのは誰なの?」


…そう
事故にあった直後こそ混乱していて
何も気にならなかった

でも、改めて考えると
そこがどうしても気になったのだ


「…それに、誰かが私の名前を呼んだの」


轢かれる前の最後の記憶…

“結映…っ”

あの時誰かが私を呼んだ
それは確かだった


ずっと黙っていたタクは
パッと顔を上げると言った


「俺だよ」


「え…でもタクは私の名前…」


タクは私をユエと呼ぶ
でもそれは本当の名前じゃない

…あの時私を呼んだ声は
“ユエ”ではなく“結映”と呼んでいた


私は納得がいかずに口を濁らせると
タクは柔らかく笑った


「実は知ってたんだ…一緒に暮らしてたらそういう事もあるだろ??」


「…そっか、なら良いんだ。」