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目が覚めると
タクは隣でベッドに腰を掛けていた



「ユエ、起きた?よく寝てたね」


クスクス笑うタクに言い返そうと
身体を起こした時腰に痛みが走った


「腰痛むの?今日のユエは凄かったもんなぁ」


「タクが激しすぎただけでしょ!!」



そう私が鋭い視線を送ると
両手を挙げて“降参降参”と言ってみせた


身体を起こせないままでいると
タクが私の方を向いて軽くキスを落とした


「今日のユエ、いつもと違ったね?」



「そう?‥‥いつも通りだよ‥‥。」


小さくそう呟くと
タクはそれ以上詮索してはこなかった



タクと私はセフレ

寂しくなった夜は
こうして身体を重ねる

偽りの愛を叫び合うだけ
そこに感情は無い

それは何時でも
変わらないことなのだ。




「メイクもこれで良し‥‥っと。」


用意を済ませて立ち上がると
タクは“送るよ”と車を出してくれた



車の中での会話は勿論無い
あのBARを出たら私達は他人に戻る

不満は何も無い。望んだのは私だから。



家に着くと
“ありがと”と小さく伝えて車を降りた


「ユエ」

背を向けて歩き出そうとした時
私は呼び止められた

タクの方をもう一度向くと

「またね」

そう言ってまた笑った


タクは決して“さよなら”を告げるような
言い方はしない


‥‥本当に狡い男だ。


私は無言で微笑んで見せると
背を向けて歩き出した




変わりゆく日常の中に
変わらない事がある


それは時に甘く
時に私を苦しめるのだ



《変わりゆく日常と変わらないもの》