『龍輝、なんか疲れてる?』
ある日の朝、疲れきった龍輝を見て俺が聞いた。
『ああ…ちょっとね…』
『葵か?』
『……』
こいつは優しいから何も言わないんだろうな。
すると龍輝は口を開いた。
『この前のデートでさ…』
俺は顔をしかめて聞いた。
『9時に時計台って言っててさ。
俺は5分前くらいについたんだよ。
でも葵はとっくに来ててさ』
『うん』
『ごめんごめんって走っていったら…なんて言ったと思う?』
『いいよー…
とかじゃなさそうだな』
龍輝の顔がどんどん曇っていく。
(来るの遅すぎ…彼女が10分前にいるんだよ!?彼氏は30分前とかにいるべきじゃないの?
それで彼女を待つんじゃないの!?)
(ご、ごめん)
『って…なってさ』
『え…?』
『私の彼氏なんだから完璧でいてよって言われちったよ』
『なんだよそれ…』
『ほかの女と話しただけで怒ったり女友達の連絡先消されたり…』
そう、葵はもう可愛い彼女じゃなくなっていた。
佐野龍輝を彼氏にもつ、自分に酔っているだけの可哀想な女へと、変わっていった。


