本当の「好き」に気づいたとき、




五月になって大抵の行事は無くなる。



いつもの、普段の生活が通り過ぎてゆく。



でも…



「今日は席替えだ!」



3時間目のホームルームで担任が言った。



「本当!?」

「よっしゃー!!」



みんなも嬉しそうにはしゃいだ。


女子はみんな佐野くんをチラチラと見た。


みんな狙っている。佐野くんの近くになるのを…。


今は千里が前の席にいる。


私からみて佐野くんはかなり後ろのほうだった。


だから見ようにも見れなかった。好きな人の授業受けてるところとか普通見たくない?



まさか後ろ向いてずっと見てるわけにもいかないわけで。



「せめて後ろがいいなー…」



佐野くんを見れる位置にいたいなー。



そう思った。



「後ろ?も後ろがいいんだー!!

特に窓側!あそこ最高だよね!」


と、私のひとり言を聞いて千里が窓側を指さす。


そこには少し地味なメガネの男子が座っている。


しかも…そういう意味の後ろじゃないんだけど…。


ま、いっか。



席替えはくじ引きで行われる。みんながドキドキしていた。


一大イベントの一つだもん。


先生が用意した棒をひとりひとり引いていく。


せめて佐野くんよりは後ろにいたい…!



それか千里の近く…!!!


そう願ったあと、私の番がまわってきた。