龍輝side
俺らの組に雄大が来た。
「雄大…」
「ん?聞かなかった?期末テスト。
俺んち来ないの?」
当たり前のようにさらっと言う雄大が羨ましかった。
佐倉の顔を見ると…
「うん!行く」
嬉しそうに微笑み、そう返事した。
「ごめんね千里!今日雄大んちで勉強してくるね!」
「お!いってら!」
「佐野くんも真田くんもまた明日!」
笑顔で手を振る佐倉。
「うん…」
俺も佐倉に手を振る。
佐倉の背中を見送る。
そういえば佐倉を振ってから、佐倉の背中を多く見るようになった。
前までそんなこと無かった。
佐倉は必死で俺を追いかけてくれていたのだろうか。
だから佐倉の笑顔ばかり見えていたんだ。
佐倉が頑張ってくれていたから。
もう佐倉は俺の為に頑張ってくれない。
だから、次は俺が。
俺が頑張る番。
佐倉を、追う番。
なのに。
こんなに辛いなんて。
好きな人が振り向いてくれないことが。
好きな人が他の男と話していることが。
好きな人が他の男に笑っていることが。
知らなかった。
俺はなんて、無知で子供だったんだろう。
「陽介、帰ろうか」
夕日はいつもより赤く、綺麗だった。


