「佐倉?何してんの?」
下駄箱で靴を履き終えた佐野くんが私を呼ぶ。
ハッと我に返る。
「置いてくぞ~」
いたずらっぽく笑う佐野くん。
その笑顔に泣きそうになる。
「ごめんごめん!」
私は急いで靴を履いて佐野くんの所へ走った。
外は闇に包まれていて真っ暗だった。
街頭もときたま立っている。
私の隣を歩く佐野くんは車道側にいた。
そう言えば雄大もそうだったな…。
「あっ、ここのクレープすっげえうまいんだよ
今日はもう閉店しちゃったけど
今度来ない?」
佐野くんが私の方を見て笑いかけた。
「えっ!行きたい!!!」
よかった、と佐野くんがまた笑う。
このまま時が止まればいい。
このままずっと二人の世界にいたい。
佐野くんと歩いていたい。話していたい。
でも私は知らなかった。
佐野くんには大きな秘密があったことーー…。


