朝……
最悪な気持ちで教室の一角を見やる。

女子が群がって騒がしい。
中心に居るのは彼氏の筈の金田 祐也。
付き合った当初は浮気なんてしてなかったのに、いつからだろう。
彼は僕の事を見てくれなくなった。
いえ、本当は最初から僕の事を見ていなかった。

「ゆ~の!おっはー」

教室の入り口から声をかけてくれるのは要 凜。
僕の唯一の親友。

「おはようございます、今日も元気ですね」

「なにそれ嫌味?」

「違いますよ、只元気で愛らしい人だなと」

素直な感想を述べると凜ちゃんは照れてしまった。

「あんた男だったら天然タラシね……」

「?良く理解出来ませんが残念ながら僕は女の子ですよ」

「えぇ、理解しているわ。だってあんたみたいな可愛いのが男な訳ないじゃない」

可愛らしいのは凜ちゃんなのではないでしょうか?
ふわふわの茶色いショートの髪にスタイルの良い高めの身長。
性格はサバサバしてるけど実は照れ屋さん。
うん、可愛らしい。

「バーカ、あんたのが可愛いわよ。真っ黒で長い切りそろえた髪に小さい身長!残念なロリッ子体型!ロリコンが放って置かないわ!」

「失礼な、胸は現在成長中ですよ」

それとロリとは何ですか、ロリとは。

「ロリコンじゃなくても放って置かないか」

訂正をすれば良い訳なかろうに……

「ま、放ってる奴は居るけどね~」

「まぁ、そうでしょうよ。僕は可愛くないですから」

「言うに事欠いて可愛くないとは何さ、あんた女子全員敵に回すつもり?」

「……既に敵だらけのような」

彼女という肩書きを欲する人は沢山いますから。