俺が通う高校にはたくさんの桜が咲き、散り始めている。


「…そろそろ、春も終わりか。」


ついこの間まで入学したての1年生が気付けば2年生。


時が過ぎるのは早いものだ。


ドンっ!


「ちぃちゃん!なーに考えてんの?『そろそろ、春も終わりだな。』とか考えてた?」


「…。」


俺は櫻井千景(サクライチカゲ)。


そんで、俺の隣にいるうるさい奴は真山雅(マヤマミヤビ)。


「ん?あれ?今日は保護者様はいないのぉ~?」


「保護者様、じゃない。李愛だ。」


「そーだったねぇ!いぃちゃん、どうしたの?」


「…風邪だ。ここ最近、寝ていなかったらしい。…置いてきた。」


先程からの会話の主題となっている「李愛」という人物は俺の幼なじみの河内李愛(カワウチイオ)。


家が近いからいつも一緒に登校し、帰宅しているから


「リア充か?」


とか言ってくる奴もいる。


でも、俺と李愛は家が近い幼なじみ、ただそれだけだ。


「いぃちゃん、風邪かぁ。お見舞いには行った?」


「…何でお前に何でもかんでも話さなきゃいけないんだよ。別に関係ねぇだろ。」


「だってぇ、心配じゃん?今日一日がw」


「?」


雅は俺の顔を覗きながら何かを隠しながら楽しそうににやけた。


「はぁ…。」