教室に着くやいなや、天音に声を掛けられた。

「おはようございます。雨宮さん。…なんだか嬉しそうですね?何かありました?」

柔らかくて暖かい声音。雫はまた、心の底が暖かくなるような感覚を覚えた。

「へへへおはよっ。ちょっといい事があったんだー」


この教室には2人しか居ないためか、声が教室によく響く。


そこにガラガラと凌が入ってきた。

相変わらず無表情で。そして一言、

「すまない雨宮を借りるぞ。風上。」

といい出ていった。


天音は、
「構いませんよ。先生。」と雫に向かってヒラヒラ優雅に手を振った。


雫は天音に向かい手を振りながら、急いで凌のあとを追った。