「出来る」 「え?」 あたしの言葉に今度は緋人が聞き返した。 「一人の自殺志願者を、救ったんだから」 「……杏奈」 ねえ、緋人。 例え、これが期間限定のものだとしても。 そこに愛情がなくても。 友情だってなくたって。 あたしは、緋人にあの時本当に救われたんだ。 それだけは変わらない事実だから。 「そっか。 …そうか」 俯き、納得するように呟くとあたしに緋人は切なく笑った。