「な、泣いてな……っ」



ないって言おうとした瞬間、電車がグラッと揺れて思わず転けそうになる。


ヤバイッーー。


そう思った時、清瀬くんが咄嗟に私の身体を支えてくれて。


ふんわりと、清瀬くんから甘い香りがした。


ドキッ……。



「…………」


「大丈夫か?」



優しい声。

彼のおかげでなんとか転ばずにすんだ。


危なかった……。


胸が、ドキドキしてる……。



「大丈夫……ありがと……」



華奢に見えて、掴まれた腕とか意外と筋肉質で、なんか……調子狂う。


と、その時。


グゥウウッと、なんとも間抜けなお腹の音が鳴り響く。


カアァッとまた顔が一段と熱くなる。



「くっ……ふっ……」


「……もう、我慢せずに笑ったら?」


「くくくっ、あっはははは!もうムリ!え、なに!お腹空いてんの!?」



一目も気にせず涙まで流して笑う清瀬くんをキッとにらみつける。


本当に笑ったし!この人!!