彼が笑顔だったから私も自然と笑顔が出た。



「おはよう、清瀬くん」


「はよ。藤田、なんか今日顔暗くね?」



キョトンとした清瀬くんの顔に思わず視線を外しながらあごを引く。


あれ、そこ触れちゃう?


できれば触れないで、ほしいんだけど……。



「そ、そんなことないよっ?」


「そんなことあるよ」



……なんで引いてくれないのよ。


放っておいてほしいのに。


ズケズケと心の中に土足で入って来ようとされているみたいで、なんかイラッとした。


清瀬くんは、なにも悪くないのに。


むしろ心配してくれているのに。



「泣いた?」


「……えっ」


「泣いたでしょ。目、腫れてんもん」



目元をさしながら言った清瀬くんの顔があまりに近くて顔が熱くなる。


ち、近いよ……っ。