突然泣き出した私にあたふたする清瀬くん。
清瀬くんだぁ……。
清瀬くんがいる……。
「と、とりあえずこっちに行こう」
「うん……っ」
清瀬くんに連れられて奥のステージがある部屋に入った。
誰もいない広い会場。
両サイドに大きなスピーカーが備えつけられている。
清瀬くんは今日ここで演奏したのかな?
「座って」
「ありがとう」
そんなに高くないステージに腰を下ろした。
足が痛い……。
下駄の帯のところが擦れてて赤くなってる。
「少しは落ち着いた?」
「うん、突然ごめんね……」
「ううん。大丈夫?」
「うん」
困らせに来たんじゃないのに。
言いたいことがあるから、ここに来たんでしょ?
「先輩となんかあった?」
「…………」
そうか。今日先輩と花火大会行くってこと、清瀬くんはあのメッセージを見たから知ってるのか。
「先輩との関係は、終わらせて来た」
「え?」
「ちゃんと話して来た」
清瀬くんが驚いたように目を丸くする。
「清瀬くんに言いたいことがあって来たの」