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ここ、だよね……?


ネオンの看板が目立つライブハウスの入り口。

あがった息を整え、汗を手の甲で拭った。


そして意を決して扉に手をかけて中に入る。



「あ、もしかして太陽たちのライブ見に来たの?」


「はい……そうです」



中に入るとスタッフの名札を首にぶら下げた男の人に声をかけられた。



「ついさっき終わったよ」


「……うそ」



間に、合わなかった……?


チカラが抜けてへにゃへにゃに座り込む。


……間に合わなかった。


もう、言えない。

清瀬くんに、私の気持ち。


伝えることができない。


そんな……。

やっと言おうって決意できたのに。


あまりの悔しさに、涙が溢れそうになったその時。


ーーガチャ。



「うお!?藤田なにやってんの!?」


「……っ…。」



後ろから聞こえた声。

首だけそちらに向けるとライブ会場から顔を出す清瀬くんの姿。


にじむ。清瀬くんの姿がにじむ。


会えた嬉しさ。心からの安心。



「ゔぅ〜〜清瀬くん〜〜」


「え!?なんで泣いて!?え!?」