だから俺と、付き合ってください。




隣に座る先輩を見ると真っ直ぐ前だけを見て、すこし寂しげに笑っている。



「やっぱり俺は遅かったんだよなぁ。なにもかも」


「…………」


「あの頃の俺さ、綾乃の心は俺のところにあるってまったく信じて疑ってなかった。だからあの日、駅で怒られた時、頭んなか真っ白になって……正直ショックだった」



あの日って、私がはじめて先輩に自分の寂しい気持ちをぶつけた日だよね?



「俺はすれ違っても、会えなくても、綾乃のこと信じてるってそう思ってたけど、綾乃は違ったんだって。でもそれってただの俺の自己満っつーか……。結局綾乃のこと見てやれなかったって証だよな」


「先輩……」


「今日も心ここに在らずって感じでさ。あいつのこと好きでも綾乃がそばにいてくれたらいいって思ってたけど、やっぱそんなんじゃ虚しいだけって気づいた。……失ってからじゃ遅いって、ことかな」



苦笑する先輩。
あんなに大好きでずっとそばにいたいと思ってた。


こんな日が来るなんて想像もしてなかった。


私も先輩のこと信じてたよ。


大好きだったよ。


でも待てなかった。私の心が弱すぎたの。


先輩だけが悪いわけじゃない。
私も先輩も、お互いにダメだったから終わってしまったの。


正直に本音を言えなかった私。

私の寂しい気持ちに気付けなかった先輩。