「じゃ、じゃあ、先輩、お疲れさまです」
「あ、待って。送ってくよ」
「え……?」
思ってもみなかった返答に、口をだらしなく開けっ放しにしてしまっていたことに気がついて、とっさに口をつぐむ。
ウソ。
先輩と帰れるの……?
「こっちでいい?」
「あ、はいっ!」
「小さいね。身長どれくらい?」
たわいもない話をしながらいつもの道を歩いて行く。
……あぁ、ヤバイ、ヤバイ。
いつもの帰り道が、全然違うく感じる。
先輩と並んで歩く日が来るなんて、思ってもみなかった。
「じゃあね」
「送ってくださって、ありがとうございました!」
駅の改札前、ニッコリ笑って先輩と別れた。
振り向いて歩き出した瞬間に胸がいっぱいになって、苦しくなった。
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!
胸をおさえて、足早に歩いて行く。
はじめて先輩と話した。
名前を覚えてもらった。
先輩に駅まで送ってもらった。
ヤバイ、ほんと。ヤバイ。



