「行ってきまーす」
下駄をはいて、通学と同じように電車に乗る。
同じように花火大会に向かってるのか、浴衣を着た人たちがちらほらいた。
中には仲睦まじいカップルたちもいて。
流れる景色のなかに映る自分の力ない表情。
電車を降りると改札を抜けて駅から外へ出る。
そしてこの前と同じように壁に寄り掛かるのは修二先輩。
「綾乃」
私の姿を見て安心したように微笑む。
「よかった。来てくれて」
「うん」
先輩の笑顔を見ながら清瀬くんの笑顔がチラつく。
ライブは確か18時からだっけ。
きっと今ごろ緊張してカチコチに固まってるんだろうな。
想像できちゃう。
「行こうか」
「うん」
あっ、手……。
自然に握られた手にドギマギしてしまう。
先輩とデートする時、先輩は私と手をつなごうとはしなかったのに。
握られている手に力が入ってるのがわかる。
まるで“離さない”って言われているみたい。



