「え、なんで……」
改札を抜け出た私の目に入った人物。
壁に寄りかかるようにして立っていたのは……。
「修二、先輩?」
「おはよう、綾乃」
「お、おはようございます……」
「返事来なかったから聞きに来ちゃったよ」
そうおどけたように笑う先輩に私は同じように笑い返すことができない。
元気がでない。明るく振る舞えない。
エネルギー不足が否めない。
「綾乃をこんなに泣かせる悪い男はだれかな」
「先輩……?」
私の目元に先輩が指を這わせる。
その仕草に目を繰り返しまばたきさせた。
「この前はあんな風に威勢よく啖呵きってたくせに」
「…………」
先輩はわかってるんだ。
私が清瀬くんのことで泣いたってこと。
「俺が言えることじゃないんだろうけど、綾乃を泣かせるなんて許せないな」
「違うんです。清瀬くんは関係ないんです。私が勝手に……」
そう。
私が勝手に好きになって、勝手に傷ついてるんだ。



