緊張したように顔をこわばらせて、ゆっくり言葉を選ぶ清瀬くんに首をかしげた。


なに……?



「俺さ……」



ーーピンポンパンポーン。


《2年生の清瀬太陽くん。至急体育館に来てください。クラスのみんなが待っていますよ》


清瀬くんの言葉をさえぎるように流れた放送に、清瀬くんと顔を見合わせる。



「あ、やっべ。俺試合があんだった」


「ふふっ、もうなにしてるの。早く行きなよ」


「うん、ごめん!また今度な!」


「うん、今度ね」


「藤田はゆっくり戻って来いよ?」


「ん、ありがと」



私の足のことを気にかけて、そう言ってくれてるんだ。


その優しさが嬉しくて、ついニヤけちゃいそうになる。


……でも。

清瀬くんの言葉の続き、聞かなくてよかったかもしれない。


そう思うとちょっとだけ切なくなった。


結局そのあと足を捻挫してしまった私は試合に出られなくて、応援にまわった。


うちのクラスは決勝に残ることもなく、球技大会を終え、バスケットボールの男子部門を優勝したのは先輩のクラスだった。