「ん、どした?」


「……なんでも、ないよ」


「ほんとに?」



首をかしげて、私の顔を覗いて来る清瀬くんに、うつむいた。


……あぁ、最低な、オンナ。


それでも、清瀬くんと一緒にいたいって思ってる。



「大丈夫だって!」


「へ?」


「バスケ、きっと上手になるから!あんま不安そうな顔すんなって!」



私を励まそうとしてくれた清瀬くんの言葉。


……違うのに。


そうじゃ、ないのに。



「ありがとう」


「ううん!まずはパスの練習からだな〜」



のほほんと歩いて行く清瀬くんの背中。


……こんなズルい考えをすることも"恋"の一部なのかな。


綺麗なだけが、恋じゃないのかな。


私の知らないことが、まだたくさんあるんだ。


恋って、なんだろう。