ジャンプボールでみんながいっきに動き出した。
や、やばいぃ……!
ど、どうしたらいいの……!?
「藤田!走れ!」
清瀬くんの声に焦る。
そんなこと言ったって、ムリだよ……!!
走るってどこに!?
「綾乃!パス!」
「え?えええ!ちょっと待っ……ブフッ!?」
ユカから私に向かって放たれたボールは綺麗なこうを描いて私の顔面を直撃。
スローモーションのように、倒れながら天井を仰ぎ見た。
……ちゃんと取ろうとしたのに、ボールはいつの間にか私の視界を真っ暗にしていて。
気づいたら尻もちをついて、倒れこんでしまっていた。
「綾乃!?大丈夫!?」
「藤田!?」
試合は一旦中断。
みんなが心配そうに駆け寄って来る。
あたたた……鼻が痛い……いやむしろ顔全体がジンジンして痛い……。
そして、誰よりも早く私のもとへ走って来たのは……。
「藤田、おまっ、鼻血出てんぞ!?大丈夫か!?」
「き、清瀬くん……っ」
清瀬くんだった。
焦ったように、心配したように、眉を下げて、私の肩に触れた彼の手。