どうしよう。どうしよう。
翔太が、翔太がいるよ。
ドキドキして、嬉しくて。
でも、
不安で。翔太にあんなこと言っちゃったし。
傷つけた。
嘘なの。あのとき、まだ、好きだった。
大好きだった。でも、意地を張って正直に言わなかった。何てバカなんだろう。
今さら..だよね。
今さら、そんなこと言ったって..。
無理..だよね。
もう、間に合わない、よね?

「なになやんでるの‼」

姫乃が、声をかけてきた。

「好きなんでしょ?」

「..うん。」

「..なら、早くしないと、取られるよ。」

そう言って、翔太の方に目を向ける、姫乃。私も、その方を見る。

「..はぁーっ..。」

女の子が、翔太の周りに集まってる..
誘われたりしてるけど..断ってるみたい。
変わったなぁ。
翔太。
なのに、
なのに..





私は―――――――――?

「ほら、井上さんも。」

井上さんとは、モテモテの女の子。
井上 小百合(イノウエサユリ)。
リーダーシップも強くて、クラスの中心的存在。
井上さん..ちょっと赤くなりながら、
翔太のこと見てる。
井上さんも、
きっと好きなんだろうな―――。
翔太のこと。

ぼーっと井上さんを見てたら。
井上さんが、こっちを見た。

――――――――――バチッ。

目があった。
そのとたん、井上さんがこっちに、小走りで走ってきた。

「千夏ちゃんっ‼」

そう言いながら、笑っている、井上さんに見とれながら、

「なに?」

と、私も笑って返す。

「時間..ある?」

「ある、けど?」

「良かった‼じゃあ、ちょっと来て‼」

「えっ、ちょま..‼」

私はされるがままに井上さんについていった。