魔法の国の少女


私達が入った途端、空間の割れ目は失われてしまった。

町との繋がりと灯りが消え、一気に恐怖感が皆を襲った。

「とにかく、先に進もう。」

アルマが一番クリスタに対しての思いが強いのだろう。

暗さに目がなれてくると、少しずつ道が見えてきた。

まるで工場のように、ポンプや土管が張り巡らしてあった。

すると、道の途中で、アルマが立ち止まった。

思わず私たちも止まる。

だが、アルマは何も言わなかった。

「ど、どうしたの?」

パラリンが苦笑いして言う。

しばらくの沈黙のあと、アルマが口を開いた。

「…ごめん。」

「え?」

「おれの自分勝手のせいで、皆を危ない目に合わせちまって。」

アルマは、本当に申し訳ないような声をしていた。

「本当に…ごめん。」

その暗い空気を、パラリンが切ってくれた。

「んな、いーのいーの!大丈夫!」  

「…。」 

「危ない目に合うとしても、それはアルマのせいじゃない。」 

「でもよ…。」 

「もしアルマが一人だけで行くなんて言ったら、あたいが許してなかったし。」 

パラリンが言ったことは、すごく正しかった。

「サンキュ。」

「おう。」

アルマにも、元気が戻ったようだ。

「絶対にクリスタを助けるぞっ。」

「おおーっ。」 

あまり大声はだせなかった。

もし敵が近くにいたら危ないからだ。

でも、小さな声でも、心は通じあっていた。

私、気づいたことがある。

帰りたいから、早く物語を終わらせるために、ここに来たんじゃない。

そんなことじゃなくて、皆のために、来たんだ。

今までの恩を返すためにも。

お父さんに会えなかった分、皆にしっかりお返しをしたい。

そう意気込んでいた、その時だった。