到着した場所は万が一の場合、警察に捕まらない様に古びたラブホテルだった


部屋はちょっとかび臭かった


あたしは室内でも不安で堪らなかった


主任が煙草を吸いはじめた


でも何となく話し掛けたらいけない様な雰囲気だったからあたしは黙っていた


すると主任が口を開いた


タンジェイちゃん、奴らはもう来ないよ‥
もう安心して大丈夫だからね


はい、有難うございました。



‥あたしは奴らが何故来なくなったのか聞きたかったけど、突っ込んだら駄目な気がして聞けなかった


ピストルの事も何一つ疑問な事を聞けなかった



また主任も詳しい事は何一つ話さなかった


取り敢えず暗黙の了解で
この事件に関しては誰にも口を割らない‥


ただそれだけしか把握出来なかった


警察がまだ動いてるかも知れないから、二人でこの古びたラブホテルに泊まる事にした


主任はソファーで眠るからと言い


あたしにベッドを譲ってくれた



ベッドに横になった瞬間に、またいつもの様に天井が回りだす


目を閉じると更に気持ち悪い


あたしは慌てて部屋を出たから 薬も財布も煙草もない‥


玄関すら鍵をしてなかった


そして主任は眠りについた


あたしは軽い安定剤がないと毎日眠れない為


この日はチェックアウトまで目を閉じたり開けたりしながら一夜を過ごした


両親の顔、妹の顔、姪の顔が浮かんで来た‥


ごめんね、お姉ちゃんは
迷惑ばかりかけて‥


それに今はもう皆が思ってる様なお姉ちゃんじゃない‥


体も汚れて‥
とにかく醜い人間になっちゃった


家族を想うといつも涙が止まらなくなる


死んでしまいたい気持ちでいっぱいになってた‥