おじいさんが空中に手を伸ばしたかと思ったら、空中から、今朝見かけたようなガラクタが、忽然と現れたんだっ!

目をこすって見たけど、やっぱりおじいさんの手にはヘンテコなモノが握られてる。

…え…どこから出したんだよ…??

僕は今朝の決心も忘れて、立ち止まってマジマジと見てしまった。

「ぼうや、もう一度見てみるかい?」
今朝と同じようにおじいさんが聞いてくる。
今度は僕は、しぶしぶ頷いてしまった。

おじいさんは楽しそうに笑うと、今度は足元にあったガラクタを一つ拾った。
そして、それを空中に放り投げる。

「!!??」

今度はそれが空中で、忽然と消えてしまったんだ。

有り得ない…
手品にしたって有り得ない…
TVで見るなら納得するけど、こんな普通の道端で??

僕はかなり呆然と空中を見続けてた。
そんな僕を、おじいさんは楽しそうに見つめてる。
我に返った僕は、おじいさんに一礼して、そそくさとその場を立ち去った。