「ワイアットです。入ります」 船長室のドアをあけ、私は船長に頭を下げた。 「貴族みたいだな。」 「え?」 「仕草だ、すべての。 頭の下げ方にも種類があるだろう? 下っ端のやつらは、首を動かすだけさ それなのに、お前は腰からまげるだろ? ドレスの裾をあげるような仕草をして。」 何も言えなかった。 それは、トリスタンにも指摘されなかったことだったから。 「どうでもいいか。お前は男。そうだろ?」 「はい…。」