「ユリジュス・アルベルト王子…ですね」


「私の名を知っていただけているとは光栄でございます、姫君」


知るもなにも、何度断っても執拗にお見合いを勧めてくるタチの悪い国じゃない…。


「王子は何故ここに?」


「風に呼ばれた…とでも言っておきましょうかね」

こういう男は好きじゃない…、一刻も早くここから逃げたいのに運命はそんなに優しくなかった。


「では、今から近くにいる異性の方とペアを組み理想の人を見つけてください…素敵な夜を…」

執事長が手をパンッと叩くと心地よい音楽が流れ出した。