「それにしても、綺麗な人だったな…」 私は夢で見た女の人を思い出していた そういえば、お母様も綺麗な赤毛だったよね… 幼かったころのお母様との想い出は一つもなくて、 オーガストを産んでからも会わせてもらえなかった いつもは読まないたくさん並べられた本を手に取る 悪しき者に捕らえられたお姫様を救い出す勇者様のお話、私も憧れてたんだ いつか王子様が、いつか運命の人が 私を迎えに来てくれるって…… ドアの向こうをじっと見つめた。