今日もまた、豪雨。
過去の栄光が知られて、一週間。

裕太は今までと変わらず平凡な日常を繰り返していた。
あれから体育館は使えなくなり、香苗の仕業だと安易に予想のついた裕太。
それでも安心したくらい、千秋という得体の知れない存在に恐怖していた。

遠い記憶は「そうだった」のような憶測なのかもしれない。そう思うと、千秋の存在を言及する気も失せてしまった。

古文の授業中に窓に叩きつける雨粒。
湿気も連れて、中へ入ろうとバチバチと音をたてては滴り落ちていく……。
なんとも儚く、脆い……なんてしょうもない事を考えていると、裕太は自分のおかれている状況を把握していなかった。