裕太の焦りと同様に、香苗の様子も変わっていく。

「う、うう、嘘よ……こんな悪態をつくようなヤツが私の憧れだなんて……」

目頭を熱くさせ、取り巻きに慰められる。
信頼も厚く、流石強豪、と捉えた裕太だが気になるのはその後ろで表情を崩さない「千秋」だった。

一つ年下の彼女に、見透かされている気分になるのと同時に、初めて見たような気もしなかった。

遠い夏の日の思いで、のような遠い記憶なかで会ったことがあるような……。