村本はるかは、指で体を支えてしっかりと下までさげる裕太の腕立て伏せを懐かしむような目で見ていた。
無理だと言われると、むきになって闘志を燃やしてがむしゃらに励む姿……。
その姿はまるで自分の亡き息子と、とても酷似していた。だからなのか、授業中の息子はこんな感じだったのか、などと偶像を作り上げてしまう。
ノルマ達成まであと、半分。
裕太は疲れの色を隠しきれなくなっていた。暑くなることを想定して予め制服を上半身脱いでいた体は、窓ガラスから差し込む夕陽で光を放ち水滴を落としていく。
あと、10回で……のところで、集中を途切れさせるような響き渡る甲高い声。それと共にドアが開く。裕太は気力だけで指立てしていただけに、一瞬で脱力してしまった。
ドタッと床に倒れ込み、荒く息をする。
「監督! 垣本裕太の素性を……」
「……」
「……」
「……」
甲高い声を出す女は自分の失態に気付き、そして、暫く3人は沈黙を破ることができなかった。
無理だと言われると、むきになって闘志を燃やしてがむしゃらに励む姿……。
その姿はまるで自分の亡き息子と、とても酷似していた。だからなのか、授業中の息子はこんな感じだったのか、などと偶像を作り上げてしまう。
ノルマ達成まであと、半分。
裕太は疲れの色を隠しきれなくなっていた。暑くなることを想定して予め制服を上半身脱いでいた体は、窓ガラスから差し込む夕陽で光を放ち水滴を落としていく。
あと、10回で……のところで、集中を途切れさせるような響き渡る甲高い声。それと共にドアが開く。裕太は気力だけで指立てしていただけに、一瞬で脱力してしまった。
ドタッと床に倒れ込み、荒く息をする。
「監督! 垣本裕太の素性を……」
「……」
「……」
「……」
甲高い声を出す女は自分の失態に気付き、そして、暫く3人は沈黙を破ることができなかった。

