掃除の時間。教室の隅は埃が溜まりやすいから、しっかり掃かなきゃいけないんだけど…


「どけよ市山。邪魔なんだよ」

「あ、ごめん、なさい…」

悪態を付いてきた男子を避けて、教室の隅から市山さんは移動した。

「市山、動くなって言ったじゃん。ゴミが散らかるからさ。はしっこでうずくまってなよ」

何故か髪を染めるのは健全じゃないとされていて、この学校では校則違反。
そんな健全じゃない茶髪の女子が市山さんを蹴り倒した。

教室の隅に、またまた埃みたいに転がりこむ。


蹴られた腹部を抑え、市山さんはすすり泣いた。

「泣いてんじゃねーよゴミ野郎」

市山さんがゴミ野郎と言われる程の何をしたのか、少し興味があったが
おそらく何もしていないのにそう呼ばれているんだろう。
理由があるとすれば、彼女がいじめられっ子の市山さんだからだ。