女の子同士の恋愛はおかしいらしい。
私と織子ちゃんが付き合ってると知った皆は、ひきつった顔で笑った。または嫌悪感を隠そうともせずに、「気持ち悪い」と言った。


「雪、帰ろう」

少し垂れ目な織子ちゃんは、笑うとますます垂れ目になる。少し情けない笑い顔だが、私は織子ちゃんの笑顔が大好きだ。
優しくて柔らかい、天使みたいな笑顔…

「もうすぐバレンタインだねえ。雪は何か作るの?」

寒がりな織子ちゃんは両手を擦り合わせながら言った。
いつもと同じ、ゆったりとした口調で。175cmもある大きな体に似合わない、緩くてとろんとしたしゃべり方。
このしゃべり方も、私は大好き。

「クッキー作ろうかなあ。一回、本格的なケーキとか作ってみたいんだけど、私、料理下手だから」
「じゃあ、今度一緒に作ろうか?教えてあげるよ」

「本当?ありがと!」


織子ちゃんはとにかく優しい。私がどんな失敗をしても笑ってフォローしてくれる。苦手なことは、一緒に克服する手伝いをしてくれる。

一緒にいると、気が楽になる。
おかしくっても構わなかった。
多分、織子ちゃんもそう思ってるはず。