「女の子が一緒にいませんでしたか?俺達と一緒に女の子が……!」

「女の子?おるわけなかろうが。作業をサボって女の子と喋っとったんなら、処罰もんじゃぞ」

「身長は154センチくらい、痩せ形で目がクリッとしたショートヘアの女の子です。食いしん坊で生意気で、洋服はピンクのブラウスに花柄のキュロットスカート、白いカーディガンを着た可愛い女の子です!」

「峰岸君は女の子の夢でも見たんか?ここに女の子なんておりゃあせん。ここは男子寮じゃ。むさ苦しい男ばかりじゃ」

 俺は部屋を飛び出し、寮の外に出る。
 周辺には木造の家屋が立ち並び、軍服を着た男性もいる。女性はもんぺ姿、頭から頬被りをし、炎天下の下で瓦礫の処理をしていた。

「ここは……どこなんだよ……」

 見たこともない風景。呆然とする俺、周囲を見渡すが音々の姿はない。通りすがりの男女を捕まえては、次々と声を掛ける。

「おばさん、女の子を見ませんでしたか?おじさん、女の子を見ませんでしたか?榮倉音々といいます」

 黒のTシャツにジーンズ姿の俺は、この時代の風景には馴染まない。みんな眉をひそめ俺を遠巻きに見ている。

「ねねー!ねねー!」

「桃弥君、なんしとる。はよこっちに」

 時正に腕を掴まれ、強引に寮に戻された。