溜め息を一つもらしたとき、傍らから俺をまっすぐに見つめてくる視線に気がついた。





ーーーそうだ、忘れてた。




春川と一緒だったんだ………。






ちらりと目を落とすと、やっぱり春川は、表情のない顔でじっと俺を見上げていた。






つくづく感情の読めないやつだ。




その目を見ただけでは、こいつが何を思っているんだか、まったく分からない。






まいった。



本当に、こういう生徒は苦手だ。





別に、教師と生徒っていう関係じゃなければ、気にならないんだろうけど。




むしろ、わいわいうるさいやつよりは、個人的には付き合いやすいと思うが。






「………すまん。行くか」





「はい」






その答えを聞いてから、そういえばこいつは、なぜ先に行かずに俺と山田のやりとりが終わるのを待っていたんだろう、と少し不思議に思った。