課長、ちゃんとしてください。

あたしが食べ終えるのをにこにこしながら待っていた課長は、あたしが箸を置くと同時に声を上げた。







「それでぇ〜、例の件だけど〜。


あべちゃんどうする〜?」






「………なんの話ですか?」







例の件、というのが何のことなのか分からず、あたしは首を傾げた。





すると課長がショックを受けたような表情になる。







「だからぁ〜、慰安旅行の一発芸のことだよ〜」






「あぁ……そのことですか」






意識的に忘れようとしていたことを蒸し返されて、あたしは絶望的な気分に陥る。






「………何度も言いますけど。

あたしは、どう考えても一発芸なんて無理です。


一発芸大会なんて無茶ぶりですよ。

課長、やめてください」






そんなあたしの必死の説得も虚しく、課長はへらりと首を傾げて「やーだ☆」と笑った。