課長、ちゃんとしてください。

「阿部さん、ちょっとお願いがあるんだけど!」





「はい、なんでしょうか」






突然うしろから声をかけられて、あたしは振り向いた。



そこにいたのは、三年先輩の川瀬さん。






「ほんっとーに申し訳ないんだけどさ、何ヶ月か前に、俺と阿部さんで作った報告書あったじゃん?」





「あ、はい。経理関係の……」





「そうそう! あれさぁ、どうやら、印刷したのもデータも、消えちゃったらしいんだよね………」





「え………」






あたしは思わず愕然としてしまう。




そんなこと、ありうるだろうか。





大事なデータが消えてしまった?




つまり………誤って消したということだ。