課長、ちゃんとしてください。

しかたなくイスに座りなおしたあたしは、気持ちを引き締め、背筋をぴんと伸ばす。




課長はにこにこしながら、今ちょうど席を外している山口さんのデスクに腰かけた。





そして、表情筋の緩みきった緊張感のない顔を、すいっと近づけてくる。





あたしが目を見開いて言葉を待っていると、口許に手を当てた課長は、「あのねぇ……」と、囁くような声で言った。







「ちょっとねぇ、皆には聞かれたくないお話なんだね~。


あべちゃんの可愛いお耳を、俺のほうに近づけてくれるかな~?」








一瞬、あたしの思考は停止した。




でも、すぐに気を取り直して、課長を睨みつける。