課長、ちゃんとしてください。

「あべちゃんが、笑った………」






UFOでも目撃したかのような面持ちで、課長が茫然と呟いた。




そういえば、会社で笑ったことなんてなかったかもしれない。




というか、家族の前でも、あたしはほとんど笑わないと言われる。





どうしてみんな、あんなによく笑うのか、つねづね不思議に思っているんだけど。




あたしは、心から面白いと思えることがないと、笑えない。




でも、そんなふうに思えることなんて、ほとんどなかった。





ただ、今は―――




課長の顔を見ているだけで、心の奥底から温かい気持ちが沸きあがってきて、自然と笑いがこぼれた。