課長、ちゃんとしてください。

課長があたしの隣に腰を下ろす。




並んで中庭を眺めていると、宴会の喧騒がひどく遠く感じた。






「………さっきは、すみませんでした」






静寂のおかげか、あたしは素直に言葉を口に出すことができた。






「え? なんの話〜?」






課長が心底不思議そうな顔をしている。




あたしは「手鏡を投げてしまって……」と俯いた。






「あっ、そーだそーだ、はいこれ〜」






課長は浴衣の合わせ目に手を差し入れ、懐から手鏡を取り出してあたしに手渡した。





掌に載せられた手鏡を、ぎゅっと握りしめる。




課長の体温であたたまった鏡面の温もりが、ほんのりと伝わってきた。





なぜだか泣きたいような気持ちになった。