課長、ちゃんとしてください。

「………あ」






―――本当に、買ってくれたんだ。




あたしは一人で逃げ出したのに、課長はあの店に入って、あたしのために買ってくれたんだ。







「―――なんで、課長は」






そんなに優しいんですか、と言いたかったけど、言葉が喉に引っかかって、どうしても出てこなかった。






代わりに、あたしは「ありがとうございます」と囁いた。






「大事にします」






課長がふふっと笑って、あたしの頭をふわりと撫でた。




課長にそうされると、最近のあたしは心臓が壊れそうになる。




でも、心地よかった。





そういえば、家族以外から何かを貰ったのって初めてだな、と思いながら、あたしは課長と並んで坂を下った。