課長、ちゃんとしてください。

後ろを振り向けないまま、ずかずかと坂を下っていく。





―――せっかくの旅行なのに、なにやってんだろ、あたし………。






そんな考えが頭に浮かんだとたん、課長に対しても申し訳なくなってくる。




あんなに慰安旅行を楽しみにしてたのに。



わざわざあたしを誘ってくれたのに。





あたしのせいで、課長までつまらない旅になってしまっているに違いない。




あぁ、あたしって、ほんとに社会人としてダメなやつだ………






「あべちゃ~ん、待って~」






うなだれていた背中に、呑気な声が飛んできた。




どきりとして背筋を伸ばす。





課長が大きく手を振りながら、人混みをかきわけて駆け寄ってきた。