課長、ちゃんとしてください。

「あ。あべちゃーん。

地主神社があるよ〜」





上へと続く石段のふもとに出た大きな看板を指差して、課長が嬉しそうに言った。




見ると、でかでかと『えんむすびの神』と書いてある。





あたしはぼそぼそと「必要ありません」と答えた。






「え〜? 縁結びだよ〜?

俺とあべちゃんのご縁、結ばなくていいの〜?」






その言葉を聞いた瞬間、顔からぼっと火が出た。





我ながら、あからさますぎる反応だ。




あたしは女の子やカップルで賑わう地主神社に背を向け、すたすたと歩き出した。





課長は「い・け・ず~♡」と笑いながら後から追いかけてきた。





…………人の気も知らないで。